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東京某大学生事変

先日ある研修会に参加し、大学生7名と一週間を過ごすことになった。

私がその班のコーチとでも言うのか、一応面倒を見る役だった。

班の中には、東京にある某有名大学に通うD君がいた。

他の大学生も賢い子が多かったが、間違いなくその子が一番キレキレだった。

 

冷静沈着で、話す言葉の端々に賢さが滲み出ていた。

はっきり言って、私よりも余裕で頭が回った。

脳みそが詰まりすぎて、耳から出てきていないか心配になり、2回ほど確認した程だ。

 

皆さんは、使ったことあるだろうか?

「一挙手一投足」という言葉を。

そんな縁もない言葉を平気で使うのが彼なのだ。

しかも、その賢さを全くひけらかすことも無く、低姿勢の彼はこの上ない良い男だった。

 

そんな恵まれた大学生達と共に楽しく過ごした訳だが、6日目にそれはやってきた。

 

その日は、夜食にジュースとパンが参加者に配られた。

紙パックのジュースはりんご、ぶどう、オレンジ、グレープフルーツと、ものすごく色とりどりだった。


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私がふと

「今日のジュースはトロピカルやな~」

と何気なく言ってしまったのが、きっかけだった。

 

D君は、私に

「ちょっと吉田さん、いいですか?」

と、こっそり別の場所に呼び出し、真剣な顔をしながら小声で、

「今さっきトロピカルって言われましたよね、トロピカルって言うのは“熱帯”っていう意味なんです。見てください、ここにオレンジ(ジュース)あるでしょ。

オレンジは地中海産なので、熱帯ではないんです。

なので正確に言うとトロピカルというのは違います。」

 

真顔で、教えてくれるD君。

私はそんなD君の説明を聞き、小便をチビりそうになった。

彼がオレンジの知識を垂れ流している時に、私もオレンジ色の液体を垂れ流しかけたのだ。

彼は話を続けた。

「あ~でもどうだったかなぁ、確かそうだと思うけど違ったかな~」

その後も何やら1人で呟いていた。

世の中にはこんなヤバいやつがいるのかと、卒倒しそうになる所を必死で耐えた。

おそらく彼は覇気を使っている。

それも覇王色の。

 

っていうか、これ俺がおかしいのだろうか。

いや、おかしいにはおかしい。

言葉を間違えたのは私である。

にしてもだ。

こんな時、他の人は何と言っているのだろうか。

「うわー今日のジュース、オレンジ以外めっちゃトロピカルやん!」

だろうか。

それとも

「うわー今日のジュース、ほんと多種多様、千差万別やな!」

だろうか、いずれにせよ、そんなことを言っている人を私は見たことが無い。

 

一体何が正解だというのか。

いや、というかこの世に正解など、存在するのだろうか、

正解とは、一体、、、

 

半ば哲学的とも言えるこの問いに、答えを出せるわけもなく、私はただ立ち尽くしていた。

 

このままじゃ、俺は殺られる。

そう思ったわたしは、すぐさまその場を離れようと思ったが、まだ彼の話は続く。

 

「やっぱ、ちょっと待ってくださいね。1回確認します。

違ってたら恥ずかしいんで。」

スマホを取り出した。

 

 

、、、なんということだ。

 

 

 

 

既に、私は彼の感じる恥ずかしさの20倍くらいの濃度の痴態をさらしているというのにだ。

 

 

ここに来て、君は恥ずかしさがチラついたというのか。

 

 

 

 

 、、、D君。

一つだけ私に心の中で誓わせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

年上ではあるが、私は聖者ではない。

これで間違っていた時は、私は立場、常識、法律、家族、その他捨てれるだけのものを捨てて、君に怒涛の如く、汚れに汚れた言葉を吐き捨てよう。

そう心に誓った。

 

私は信仰者でもあるが、それも今回は一旦置いておこう。

 

 

 

 

 

しばしの沈黙の後、

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はスマホをこちらに向け、無表情のままこういった。

 

 

 

 

 

「あ、やっぱり合ってましたわ。」

 

 

「あ、やっぱり?」

私は笑顔で彼にそう言った。